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新たに搭載された振動モニタリング機能

2025年11月6日
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SBG Systemsの内蔵振動監視機能

この記事の目的は、IMUにおける振動のモニタリングの必要性と、内蔵型振動モニタリング機能を開発することの利点を明らかにすることです。

IMUの振動モニタリングの必要性は?

過酷な環境でIMU (マイクロ電気機械システムによる慣性計測ユニット:MEMS IMU)を使用した経験のある方なら、振動や音響への十分な考慮が必要であることをご存じでしょう。MEMSセンサーは、内部で振動する機械構造によって動作しています。この構造には、主に次の2つの重要な特性があります。

  • 振動による性能低下: 振動にさらされることで、IMU の精度が低下する場合があります。これは、「振動整流誤差(VRE)」または「振動整流係数(VRC)」と呼ばれる現象によって引き起こされます。測量やデッドレコニング(推測航法)のような高精度を溶融されるアプリケーションでは、これらの誤差が大きな影響を与える可能性があります。
  • 共振の影響: センサー自体が振動するため、搭載機器の振動周波数がセンサーの内部共振周波数と一致すると、IMU の出力が乱れることがあります。

これらの影響は、設計初期段階から重要な検討項目となります。多くの開発チームは複雑なシミュレーションを行い、多大な労力を費やしますが、シミュレーションで再現できるのは実際の挙動の一部にすぎません。

そのため、実際には高価なモニタリング装置を用いたテストキャンペーンを実施する必要があります。これらの試験はシミュレーション結果を検証するためのものですが、私たちの経験では、どれほど精密なシミュレーションでも現実の条件を完全には再現できません。中には、設計想定を超える過酷な環境で当社のIMUを使用されるお客様もおり、最大30gRMSの振動や150 dBの音響に耐えるケースもあります。

外部の振動モニターリング装置を追加することは開発上の良い方法ですが、完全ではありません。IMUが実際に経験している状況を正確に反映できないからです。

  • 測定位置がIMU本体とずれている
  • 外部機器の取り付けによって質量や構成が変化し、測定結果に影響を及ぼす

この課題に対応するため、革新的な内蔵型振動モニタリング機能をIMU及びGNSS/INS(慣性航法システム)に統合しました。これにより、システムがリアルタイムで振動のモニターリングを行えるようになりました。この解析には、フルスペクトルレポートとサンセティックレポート(統合レポート)の両方が含まれます。

FFT(高速フーリエ変換)によって、すべての周波数における振動の振幅を完全に表示します。次の画像はこのフルスペクトラムビューに対応しており、各周波数ごとに測定された振動の強度を時間の経過とともに示しています。

内蔵振動監視機能スクリプト
振動モニタリングのフルスペクトラム表示用に生成されたグラフ。SBG Systems

簡略化された振動レポート

ユーザーフレンドリーな概要で、スペクトラムを4つの周波数帯に分けて表示します。各周波数帯ごとに、全体の振動強度(g RMS)、支配的(ピーク)周波数、およびその振幅が示されます。次の画像は、当社のsbgCenterツールで表示される統合振動レポートの画面キャプチャです。

SBG Centerにおける振動レポートの簡素化
sbgCenterでの統合振動レポート。SBG Systems

内蔵型振動モニタリングモジュールはIMU/INS内部に完全に組み込まれており、追加ハードウェアなしでリアルタイムの性能を提供します。主な仕様は以下の通りです。

  • 帯域幅: 最大8 kHz(IMU モデルにより異なります)
  • ダイナミックレンジ: 最大40 g RMS(IMU モデルにより異なります)
  • 時刻同期:振動レポートにはIMUのクロックでタイムスタンプが付与され、解析が容易です。
  • 完全組み込み:FFT計算はすべてIMU内部で実行されます。
  • 更新レートと解像度:振動レポートは0.25秒ごとに生成され、解像度は4Hzです。
  • ウィンドウ設定:Flat Top、Hanning、Rectangularなど複数のFFTウィンドウモードを選択可能で、振幅精度や周波数漏れとのトレードオフを調整できます

これにより、IMU 設置位置での詳細な振動解析が可能になります。ユーザーは、慣性ノイズやIMUの性能を実際の機械的励振と関連付けて評価できます。例えば、リアルタイムFFTデータは、IMUの連続組み込みテスト(CBIT)を補完する追加の指標として利用できます。これにより、取り付け共振や高調波励振を検出でき、それが加速度センサーのノイズ変化やジャイロスコープのバイアスの変化と一致することもわかります。

内蔵型振動モニタリング機能は多様な用途で利用可能である、今後お客様がさらに多くの使い方を発見されることも期待しています。以下はいくつかの例を紹介します。

  • 設計段階での振動解析: 車両設計時に、IMUの取り付け位置の最適化に役立ちます。IMU直上で振動を計測することで、エンジニアは、外部の重く高価なセンサーを追加する必要もなく、最適な設置場所を選定し、ダンパーを調整し、防音設計を行うことが可能です。
  • シェーカーでのIMU 認証 IMUやINSを  振動(ランダム振動やスイープ振動)にさらす際の認証時にも使用できます。モニタリングにより、測定された振動が投入された振動(伝達関数)と一致していることを確認できます。また、共振がシェーカー、セットアップ、あるいはIMU自体に起因するものかを判別するツールとしても利用可能です。
  • UAVおよび航空宇宙システム:振動モニタリングは、ロータークラフトやタービンエンジンの共振モード検出や、IMUがジンバルや安定化プラットフォームに搭載される場合のペイロード隔離の検証に使用できます。
  • 地上車両当社のINS は地上車両の位置測定(モバイルマッピング)に頻繁に使用されます。この場合、FFTによる振動データを活用して、道路状況の解析や地形分類など、革新的な方法で利用できます。
  • ミッション関連のビルトインテスト(BIT):過酷な運用環境では、過剰な振動はエンジン故障、ゲイン制御の問題、空力的不安定などの異常を示すことがあります。内蔵モニタリング機能は、追加センサーなしでこれらの異常をリアルタイムに検出可能です。
  • 構造健全性およびモード解析: FFT振動データは、共振周波数の変化を検出して構造疲労や緩み、材料劣化の可能性を把握するなど、モード解析の精度向上に活用できます。これによりIMUは、動作追跡だけでなく、長期的な構造モニタリング機器としても使用できる二重用途センサーとなります。

お使いのデバイスが対応している場合は、まず最新のファームウェアにアップデートしてください。次に、出力設定で振動モニタリングメッセージを有効にします。データの処理方法は以下の通りです。

1 – sbgCenter – 振動レポートを簡単に可視化できます。

2 – sbgBasicLogger – データをASCII形式でエクスポートできます。

3 – sbgECom ライブラリ – バイナリデータを迅速かつ効率的に解析できます。

今後、さらに活用できるように、追加のドキュメントやサンプルコードも提供予定です。

このセクションでは、内蔵型振動モニタリング機能に対応している製品を紹介します。互換性は、ハードウェアのリビジョンおよびインストールされているファームウェアのバージョンに依存します。以下の要件をご確認のうえ、機能をご利用ください。

現在、振動モニタリング機能に対応している製品は以下の通りです。

お使いの製品が上記より古いファームウェアの場合は、サポートチームまでお問い合わせください。互換性やアップグレードの方法について案内いたします。なお、この機能は今後、さらに多くの製品に順次対応予定です。